もう失敗しない!大切な麻(リネン)の正しい洗い方とシワにならない干し方
大切な麻(リネン)の服、自宅でお手入れできていますか?
爽やかで肌触りが良く、着るほどに馴染む麻(リネン)素材の服は、春夏を中心に多くの方が愛用されています。自宅で気軽にお手入れできれば、クリーニング代を抑えられますし、何よりも大切な一着をいつでも気持ちよく着られます。
しかし、麻(リネン)素材は「シワになりやすい」「縮みやすい」といったイメージから、自宅での洗濯にためらいを感じる方もいらっしゃるかもしれません。間違った方法で洗ってしまうと、風合いが損なわれたり、型崩れしてしまったりする可能性もあります。
この記事では、大切な麻(リネン)の服を自宅で安全かつ効果的に洗うための、正しい方法とシワを防ぐ干し方のコツを詳しく解説します。これらの知識を身につければ、もう麻素材のお手入れで失敗することなく、お気に入りの服を長く美しく保つことができるでしょう。
麻(リネン)素材の特性を知る
まず、麻(リネン)素材がどのような特性を持っているのかを理解することが大切です。
- 丈夫で耐久性がある: 天然繊維の中でも比較的強度があり、繰り返し洗っても傷みにくい性質があります。
- 吸湿性・速乾性が高い: 汗をよく吸い、乾きやすいため、夏場でもさらりと快適に着用できます。
- 通気性が良い: 熱がこもりにくく、涼しく感じられます。
- 使い込むほどに柔らかくなる: 最初はやや張りがありますが、洗うたびに繊維が柔らかくなり、肌に馴染んできます。
- シワになりやすい: 繊維の性質上、洗うときや着用中にシワができやすいのが特徴です。
- 縮みやすい: 特に水洗いすると縮む可能性があります。
これらの特性を踏まえると、自宅で洗う際には「縮み」と「シワ」への対策が重要であることがわかります。
洗濯表示を必ず確認しましょう
どんな衣類を洗う際にも最も重要ですが、麻(リネン)素材の場合も例外ではありません。必ず洗濯表示を確認してください。
- 水洗い可の表示(洗濯おけのマーク)があるか: これがあれば自宅で水洗いできます。手洗いマーク、洗濯機マークを確認しましょう。
- 水洗い不可の表示(洗濯おけに×マーク)があるか: この表示がある場合は、自宅での水洗いは避け、クリーニング店に相談してください。
- ドライクリーニング表示(PやFのマーク)があるか: ドライクリーニング推奨ですが、水洗い不可でなければ自宅での手洗いも可能な場合があります。ただし、型崩れや風合いの変化が心配な場合はプロに任せるのが安心です。
自宅で洗える表示がある場合でも、装飾が多いものや非常にデリケートな素材(薄手のもの、目が粗いものなど)は手洗いがおすすめです。
自宅で洗う前の準備
実際に洗う前に、いくつかの準備をしておきましょう。
- 衣類を裏返す: 色褪せや摩擦による傷みを防ぐために、服を裏返してから洗いましょう。
- 洗濯ネットに入れる: 特に洗濯機で洗う場合は、型崩れや他の衣類との絡まりを防ぐために必ず洗濯ネットに入れてください。たたんで、衣類のサイズに合ったネットを選ぶのがポイントです。
- 単独、または同系色・同素材のものと一緒に洗う: 色移りしやすい性質もあるため、他の色の濃いものと一緒に洗うのは避けましょう。できれば麻素材だけで洗うのが理想です。
- 洗剤を選ぶ: 麻(リネン)素材には、繊維への負担が少ないおしゃれ着用の中性洗剤がおすすめです。蛍光増白剤や漂白剤入りの洗剤は、色褪せや生地を傷める原因になることがあるため避けてください。(ただし、白い麻で黄ばみが気になる場合は、酸素系漂白剤を薄めて試すこともありますが、目立たない場所で試すなど慎重に行いましょう。)
麻(リネン)の正しい洗い方
洗濯表示と準備ができたら、いよいよ洗濯です。手洗いと洗濯機洗い、それぞれの方法を見ていきましょう。
手洗いの場合(デリケートなもの、縮みが心配なものに)
- 洗面器などに水を張る: 30℃以下のぬるま湯、または水を洗面器やたらいに張ります。お湯の温度が高いと縮みやすくなるため注意が必要です。
- おしゃれ着用洗剤を溶かす: 指定量を守り、水に洗剤をよく溶かします。
- 優しく押し洗いまたは振り洗い: 服をネットごと浸し、上から優しく押したり持ち上げたりを繰り返す「押し洗い」か、水を揺らして洗う「振り洗い」を行います。ゴシゴシ擦ったり、強く揉んだりすると生地が傷み、シワの原因になるため避けてください。
- 丁寧にすすぐ: 泡が出なくなるまで、水を入れ替えながら十分にすすぎます。洗剤が残ると変色やニオイの原因になります。
- 短時間だけ脱水する: シワを最小限にするため、脱水は最も重要な工程です。
- 脱水機を使う場合は、ごく短時間(30秒〜1分程度)にしてください。高速回転は強いシワの原因になります。
- 手で絞る場合は、強く絞らず、タオルで挟んで水分を吸い取るか、ネットに入れたまま形を崩さないように軽く押さえて水気を切る程度にしてください。
洗濯機で洗う場合(水洗い表示があり、比較的丈夫なものに)
- コースを選ぶ: 洗濯機の「手洗いコース」「ドライコース」「おしゃれ着コース」など、水流が弱く設定されているコースを選んでください。標準コースは生地を傷めたり縮ませたりする可能性があります。
- 水温を設定する: 設定できる場合は、30℃以下の水温に設定します。
- 脱水時間を最短にする: これが洗濯機で洗う際の最大のポイントです。 シワを防ぐために、脱水時間はできる限り短く(多くの洗濯機で設定できる最短時間、例えば30秒〜1分など)設定してください。
- スタート: 設定を確認したらスタートします。
洗濯機の場合も、洗い終わったらすぐに取り出すようにしましょう。濡れたまま長時間放置すると、シワが定着しやすくなります。
シワにならない干し方のコツ
麻(リネン)素材の服は、洗い方以上に干し方がシワに大きく影響します。正しい干し方を実践しましょう。
- すぐに形を整える: 脱水が終わったら、すぐに洗濯機や洗面器から取り出し、縫い目に沿ってパンパンと軽く叩いたり振ったりしてシワを伸ばし、元の形に整えます。特に袖口や裾、襟元などは丁寧に。
- 太めのハンガーにかける: 型崩れを防ぐため、針金ハンガーのような細いものではなく、厚みのあるハンガーや肩幅に合ったハンガーを使用しましょう。ニットなどのように重みで伸びやすいものは平干しネットも検討できますが、麻の場合は風通しが重要なため、ハンガー干しが基本です。
- 陰干しをする: 日光に当てると色褪せの原因になることがあります。風通しの良い、直射日光の当たらない場所で陰干ししてください。
- 乾燥機の使用は避ける: タンブル乾燥機は高温かつ回転による摩擦で、麻素材が大きく縮んだり、強いシワができたり、傷んだりする可能性が非常に高いため、基本的に使用は避けてください。乾燥機マークに×が付いている場合は絶対に使用しないでください。
干す際にしっかりと形を整え、風通しの良い場所で干すことで、アイロンがけの手間を大幅に減らすことができます。
アイロンがけと保管のポイント
どうしても気になるシワがある場合や、パリッとした風合いに戻したい場合はアイロンをかけます。
- アイロンの温度: 麻は高温に耐えられる素材です。アイロンの温度は「高」(180〜200℃程度)に設定できます。ただし、服に他の素材が混紡されている場合は、低い温度に合わせてください。
- 湿った状態か霧吹きをする: 少し湿った状態の方がシワが伸びやすいです。完全に乾いてしまっている場合は、霧吹きで軽く湿らせてからアイロンをかけましょう。
- 当て布をする: テカリや生地の傷みを防ぐために、必ず当て布を使用してください。
- 内側からかける: 可能であれば、服の裏側からアイロンをかけると、表の風合いを損ねにくいです。
ただし、麻素材のシワを「風合い」として楽しむ方も多くいらっしゃいます。完全にシワを伸ばさず、自然な表情を楽しむのも一つの選択肢です。
保管する際は、畳んでしまうとシワになりやすいため、風通しの良い場所でハンガーにかけておくのがおすすめです。クローゼットにしまう際は、ぎゅうぎゅうに詰め込まず、服と服の間に空間を持たせるとシワ防止につながります。
まとめ
大切な麻(リネン)の服を自宅で洗うことは、適切な方法を知っていれば決して難しくありません。
- 洗濯表示を確認し、水洗い可能かチェックする。
- おしゃれ着用中性洗剤を使用し、洗濯ネットに入れる。
- 手洗いまたは洗濯機のデリケートコースで、優しく洗う。
- 脱水はごく短時間にする!
- 干す前に形をしっかり整え、風通しの良い場所で陰干しする!
- 乾燥機は避ける。
これらのポイントを押さえることで、麻(リネン)素材特有のシワや縮みを最小限に抑え、購入した時の美しい風合いを長く保つことができます。ぜひこの記事を参考に、お気に入りの麻の服を自宅で丁寧にお手入れしてみてください。きっと、より一層愛着が湧き、長く大切に着続けられることでしょう。