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自宅で簡単!大切なニットの引っ掛け傷をきれいに直す方法

Tags: ニット, お手入れ, 修繕, 引っ掛け傷, 洋服直し

大切なニットの引っ掛け傷、もう諦めないでください

お気に入りのニットを着ていて、ふとした拍子にアクセサリーやバッグに引っ掛けてしまい、ぴょんと糸が出てきてしまった…そんな経験はありませんか?大切なニットに傷がついてしまうと、がっかりしてしまいますよね。そのままにしておくと、さらに傷が広がったり、見た目が気になったりすることもあります。

でも、ご安心ください。ほとんどのニットの引っ掛け傷は、適切な方法を知っていれば、ご自宅で簡単かつきれいに直すことができます。今回は、大切なニットを蘇らせ、長く愛用するための、引っ掛け傷の基本的な直し方をご紹介します。

なぜニットに引っ掛け傷ができるのでしょうか?

ニットは糸を編んで作られているため、ループ状になった編み目が引っ掛かりやすくなっています。特に、以下のものが原因で引っ掛け傷ができることが多いです。

傷つけてしまった瞬間はショックですが、まずは落ち着いて対処することが大切です。

引っ掛け傷を直す前に:絶対にしてはいけないこと

飛び出した糸を見ると、つい引っ張ってしまいたくなるかもしれません。しかし、これは絶対に避けてください。飛び出した糸を引っ張ると、編み目がさらに広がってしまい、傷が悪化したり、穴があいてしまったりする可能性が高くなります。

飛び出した糸は引っ張らず、そのままの状態で優しく扱ってください。

ご自宅でニットの引っ掛け傷を直すために準備するもの

引っ掛け傷をきれいに直すために用意するものは、特別なものではありません。ご家庭にあるもの、または手芸店や100円ショップで手軽に入手できるものです。

もし、引っ掛かりによって糸が切れてしまったり、広範囲に傷ができてしまったりした場合は、ニットと同じ素材や似た色の毛糸があると、よりきれいに補修できることもありますが、今回は飛び出した糸を戻す基本的な方法を中心に解説します。

自宅でできる!大切なニットの引っ掛け傷の基本的な直し方

ここでは、飛び出した糸をニットの裏側に戻して目立たなくする方法をご紹介します。とじ針を使う方法が、編み地を傷つけにくくおすすめです。

ステップ1:飛び出した糸を引っ張らない

これが最も重要です。飛び出した糸は絶対に引っ張らず、そっと浮かせた状態にしておきます。

ステップ2:ニットを裏返す

傷のある部分が表側から見えるように、ニットを裏返します。傷の部分の裏側を見ると、飛び出した糸がどのように繋がっているか確認できます。

ステップ3:飛び出した糸を裏側から通す

  1. 準備した毛糸用とじ針に、飛び出した糸の端(飛び出している部分とは反対側の、編み地につながっている方)を通します。
  2. 傷の部分の編み目を見ながら、裏側から針を表側の飛び出した糸の根元に向かって通します。
  3. そのまま針を表側に出し、飛び出しているループの中に針を通します。
  4. ゆっくりと針を引き抜き、飛び出した糸を裏側へ引き込みます。

飛び出した糸が完全に裏側に戻り、表側の傷が目立たなくなれば成功です。もし一本の糸が長く飛び出ている場合は、その糸の根元近くの編み目の裏側に針を通し、裏側へ糸を引き出すように作業します。

かぎ針を使う場合: かぎ針を使う場合は、裏側からかぎ針を表側の飛び出した糸の根元に差し込み、飛び出した糸をかぎ針のフックに引っ掛け、そのまま裏側へ引き抜くようにして戻します。編み地を傷つけないよう、慎重に行ってください。

ステップ4:裏側で糸を始末する(必要に応じて)

裏側に戻した糸が長いままになっていると、またどこかに引っ掛けてしまう可能性があります。裏側で、戻した糸を周辺の編み目の裏側に数カ所くぐらせて固定するか、他の糸と目立たないように結びます。強く結びすぎると表に響くことがあるので、優しく行います。糸の端は短くカットしますが、根元ぎりぎりで切ると解けやすいので、少し長さを残しておくと安心です。

ステップ5:編み目を整える

表側に戻し、編み目が少し不自然になっている場合は、指先で周りの編み目を優しく撫でるようにして馴染ませます。

ステップ6:スチームで落ち着かせる

最後に、傷があった部分に当て布をして、アイロンのスチームを軽く当てます。スチームの湿気と熱で編み目が落ち着き、より自然な状態になります。直接アイロンの面を当てたり、強くプレスしたりすると編み地が潰れてしまうことがあるので、浮かせてスチームを当てるか、低温で軽く当ててください。

もし糸が切れてしまっていたら?

引っ掛かりによって糸が切れてしまい、飛び出した部分が編み地と繋がっていない場合もあります。この場合は、上記の方法で糸を裏に戻すだけでは不完全かもしれません。

  1. 切れた糸の端を2本とも見つけ、裏側へ引き出します。
  2. 裏側で、それぞれの糸端を周辺の編み目の裏に数カ所くぐらせて固定します。
  3. 可能であれば、ニットに使われている糸と同じもの(製品に予備糸がついていることがあります)か、似た色・似た太さの糸を用意し、切れた部分を繕う(メリヤスはぎのように編み目を繋ぐ、または裏側から細かく縫い止める)ことで、より目立たなくすることができます。ただし、これは少し技術が必要になります。

無理に自分で直そうとして傷を広げてしまうよりは、糸端を裏側で始末するだけにしておき、気になる場合はプロの修理店に相談するのも一つの方法です。

プロに任せるという選択肢も

ご自身での補修に自信がない場合や、傷が大きい、複雑な編み地のニットである、大切な高級ニットであるといった場合は、無理せず洋服のお直し専門店やクリーニング店に相談することをおすすめします。プロは様々な方法でニットの傷をきれいに直してくれます。

まとめ:自宅で手当てして、大切なニットを長く愛用しましょう

大切なニットに引っ掛け傷ができてしまっても、慌てず、今回ご紹介したような簡単な手順で対処すれば、きれいに目立たなくすることができます。飛び出した糸を引っ張らないこと、そして裏側から優しく編み目を戻すことがポイントです。

自分で手入れをすることで、服への愛着はより一層深まります。ぜひこの方法を試して、お気に入りのニットをこれからも長く大切に着てください。

もし、今回の方法で解決できないような、より大きな傷や穴になってしまった場合は、当サイトの他の記事「自宅でできる!大切な服の穴あきや破れをきれいに直す基本的な方法」なども参考にしてみてください。(※URLは適宜編集してください)